■繊維について
繊維は大きく天然繊維と化学繊維に分類されます。さらに、天然繊維は植物・動物・鉱物に、化学繊維は再生・合成・半合成・無機・精製に、細かく分類することができます。
天然繊維
植物繊維
綿
(コットン)
肌触りが良く涼しいのが特徴。吸水性に富み、熱に強くて丈夫です。染色性や発色性に優れていまが、縮みやすくしわになりやすい一面もあります。
綿麻
(リネン・ラミー・ヘンプ・ジュート)
肌強度が強く、衛生的。通気性に富み、水分の吸湿や発散性が優れているため清涼感があります。シワになりやすく、摩擦で毛羽立ちやすく、カビに弱いのが弱点です。
動物繊維
羊毛 一般的には、メリノ種羊の事を指します。その特徴は、繊維の太さが平均して細く、規則正しい縮れ(クリンプ)が数多くあるということ。保温効果 が高く、伸縮性に優れ弾力性があり、水をはじきやすく、湿気をよく吸収します。シワになりにくく、型くずれしにくいですが、虫がつきやすく毛玉になりやすい面も持っています。
獣毛
(アンゴラ・モヘヤ・カシミヤ・キャメル・アルパカ・ビキューナ)
アンゴラ(アンゴラ兎)、モヘヤ(アンゴラ山羊)、カシミヤ(カシミヤ山羊)、キャメル(フタコブラクダ)、アルパカ(リャマ)などを指します。獣毛別にそれぞれ特徴を持っていますが、羊毛と同じく、柔らかい肌触りや優れた弾力性、保湿性を持っています。アルパカの仲間のビキューナは、保護獣であるため、繊維の中でも最高級といわれています。
絹(シルク) 真珠のような美しい光沢があり、しなやかなドレープ性が特徴。天然繊維の中では最も細く(髪の毛の約30分の1)、長い繊維です。たんぱく質でできており、保温性や保湿性・発散性に優れています。シミになりやすく、酸やアルカリには弱く、耐熱性にも優れていません。
羽毛
(ダウン・フェザー)
ガチョウやアヒル等の水鳥からとれる羽根のことを言います。ダウンは、タンポポの綿毛のような形をした羽根で、硬い軸はなく大変やわらかいものです。フェザ−は、翼のまわりを覆っている硬い軸があり、その周りに綿毛のようなものが付いている羽根のことをいいます。 軽量でとても暖かく、弾性回復力があり、保温性・吸放湿性に優れています。
鉱物繊維
石綿
(アスベスト)
石綿という名前のとおり綿のように柔らかな繊維ですが、鉱物の一種で、火にくべても燃えません。髪の毛の5000分の1と非常に細く、熱や薬品に強く、磨耗に耐え、切れにくいという特徴がありますが、近年、悪性腫瘍を引き起こす原因物質であることが判り、使用の禁止や代替えが相次いでいます。
化学繊維
再生繊維
セルロース系
(レーヨン・キュプラ)
生原料は木材パルプ(レーヨン)やコットン(キュプラ)で、美しい光沢感と染色性を持っています。ふんわりと柔らかく、ドレープ性があり吸湿性が高く肌触りが良いのが特徴。シワになりやすく、水分に弱いため水に濡れると収縮し型くずれを起こし、強度も低下します。
合成繊維
ポリエステル系
(ポリエステル)
生石油加工されたものです。合成繊維の中では最も消費量が高く、様々な用途に利用されています。乾きやすく、水分による収縮がありません。シワになりにくく型崩れしにくい他、カビや害虫にも強いため、保管性に優れていますが、吸水性が少なく、静電気が起きやすい一面も持っています。
ポリアミド系
(ナイロン)
石油加工されたものです。世界で初めての合成繊維で、強度があり、水分に強く弾力性があります。カビや害虫にも強く、保管性に優れていますが、静電気が起きやすい一面も持っています。 吸湿性や吸水性には乏しいですが、短時間で乾燥します。
ポリアクリルニトリル系(アクリル) 石油加工されたものです。ウールに似た短繊維と、シルクに似た長繊維があります。共に染色性に優れ、色落ちもありません。カビや害虫に強いため保管性に優れていますが、毛玉 になりやすく、静電気が起きやすい面も持っています。
ポリウレタン系
(スパンデックス)
石油加工されたものです。ストレッチ(伸縮性)に富み、天然ゴムよりも丈夫です。染色性に優れ、安定性があります。
その他 ポリビニルアルコール系(ビニロン)、ポリ塩化ビニリデン系(ビニリデン)、ポリ塩化ビニル系、ポリエチレン系、ポリエチレン系ポリクラール系、ポリプロピレン系、ベンゾエート系、ポリスチレン系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリ尿素系、ポリシアン化ビリニデン系、プロミックス系などがあります。
半合成繊維
セルロース系
(アセテート・トリアセテート・酸化アセテート)
き木材パルプと化学物質が原料です。軽く、絹のような光沢を持ち、乾きが早いのが特徴。吸水性は少なく、熱・摩擦には弱く、静電気がおこりやすい面を持っています。
タンパク質系
(プロミックス)
原料は、牛乳タンパクと化学物質。日光に強く、絹の代用となる感触と光沢を持ちます。カビがつきやすくなっています。
無機繊維
金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、岩石繊維、鉱滓繊維などがあります。
精製繊維
セルロース系
(テンセル)
木材パルプを原料とした植物系繊維の仲間です。強度が強く、水に濡れても低下しません。吸水性が高く、すぐに乾く性質を持ち、しかも縮みにくいのが特徴。独特のソフト感を持っています。摩擦などによって擦れがおきやすく、色落ちしやすい面も持っています。






■お手入れ方法
繊維の種類やアイテムによって適したお手入れ方法が変わります。衣料品についている品質表示や取り扱い絵表示をしっかりと確認するようにしましょう。
洗濯・乾燥
洗濯の際には、品質表示で繊維の種類や取り扱い方をチェックし、クリーニング店に出した方が良いのか、手洗いできるのか、家庭の洗濯機で洗えるのかを確認しましょう。
家庭で洗う場合は、適切な洗剤を選ぶことが大切です。綿・合成繊維などの一般衣料品は弱アルカリ性の洗剤が適しています。毛や絹などのタンパク繊維は中性洗剤を用い、ぬるま湯で優しく短時間に手洗いすることが原則です(洗濯機で洗う場合は、必ず弱流水で、ランドリーネットを使いましょう)。
水洗いで縮みやすい繊維(綿など)は、洗濯後は形を整えて干しましょう。
ニットはアイテムや素材によってお洗濯方法が異なります。アウターウェアなどの重衣料は、プロのクリーニング店へ任せる方が安心です。コットンのインナーやTシャツなどは、市販の界面活性剤や酵素が配合された洗剤で洗えます。ウールや麻、シルク製のニットも、ドライクリーニング用の洗剤を使えば家庭でのお洗濯も大丈夫です。ストレッチ素材でできたものは、漂白剤を使わず水洗いをして、陰干しに。
シルク製品の洗濯は、水を使わないドライクリーニングが安心ですが、頻繁にクリーニングには出しにくい下着やパジャマなどは、洗剤の代わりにシャンプーを使って手洗いすると、きれいに汚れも落ちてちぢみ等のトラブルも少なくてすみます。
羽毛製品(ダウンジャケットなど)は、洗濯槽か大きなタライを使い、軽く短時間で押し洗いしましょう(強く押すと、ダウンが偏ってしまう場合があります)。多くの水分を含んでしまうと弾性回復力がなくなってしまう可能性がありますので、十分注意しましょう。また、洗い後の脱水も20〜30秒ぐらいの短時間で。 乾燥の際は、ダウンの片寄りを整えてから、日陰の平らな場所に平干しすると良いでしょう。ダウンの水分をとばすためにも2日〜3日ぐらい時間をかけて乾燥させましょう。
ポリウレタン製品は、乾燥機は使わずに、陰干しをしましょう。
アイロン
適当なアイロンの温度は、素材によって異なります。ナイロンやアクリル、アセテートなどは低温 (80℃ 〜 120℃)、シルクやウール、レーヨン、ポリエステルなどは中温(140℃〜160℃)、綿や麻などは高温(180℃〜210℃)が適しています。
ニット製品のアイロンがけは、まず整えたい形に広げてからマチ針で止め、スチームアイロンを浮かせながらたっぷりと蒸気をかけると効果的です。
スチームアイロンをかけた後は、必ず完全に乾燥させてから収納するようにしましょう。
デリケートな繊維のアイロンがけは、当て布をしてから行うようにしましょう。
注意
油断すると付いてしまうシミには、素早い処理が肝心です。素材によっても違いますが、生地の裏にタオルなどを当て、ベンジンかまたは水とドライクリーニング用の溶剤をブラシにつけて、シミの周囲から中心に向かって軽く叩いて汚れの成分をタオルなどに移し取るようにします。
毛や絹でできた製品は、大変デリケートで、日常のマメなお手入れが大事です。着用後はスポンジつきのハンガーに掛け、温もりや湿気をとるようにしましょう。ほこりは、毛製品の場合は柔らかいブラシ、絹製品の場合はビロードなどの柔らかい布で払い落とし、乱れを整えます。直射日光や蛍光灯には長時間当てないよう注意しましょう。また、1日着用したら、2日から3日は着用を控えた方が無難です。
毛玉は毛羽立った繊維が絡み合ったものなので、できる前のブラッシングがポイントです。また、できてしまった毛玉は、むしらずに小さなハサミでカットしましょう。






■保管・収納方法
収納・保管方法は繊維によって細かく異なりますが、基本的に、日光が届かず、湿気のない通気性の良い環境である事が大切です。また、衣類の収納は、タンスの容量の8分目くらいにしましょう。きっちり収納は、見た目は整然としていても通気が悪いため、カビの原因となってしまいます。
日々の保管・収納
一度しか着ていない服でも目に見えない汚れや汗が付いています。そのまま収納してしまうと、虫食い、シミ、カビの原因となってしまいます。また、洗った服と汚れた服は同じ場所に収納しないようにしましょう。
湿気は、上より下へこもる性質があるため、衣類を収納するときは素材別に場所を使い分けるようにしましょう。上段には毛や絹などのデリケートな衣類やおしゃれ着を、中段には虫や湿気に比較的弱いポリエステルなどの化学繊維を、下段には綿や麻など、比較的湿気に強い素材で洗濯しやすいものをしまうようにするとよいでしょう。
クリーニングから戻ってきた衣服は、一度ビニール袋から取り出して2〜3時間、陰干しにしてから収納しましょう。どうしてもビニール袋を使いたい時は、湿気防止にビニールに数箇所穴をあけるとよいでしょう。
ニット製のジャケットなどは、ハンガーを上手に選ぶことで型くずれを防ぐことができます。肩幅や、肩のカーブに近い厚みのあるものが理想的ですが、自分の重みで伸びてしまうこともありますので、長く着ないときはたたんでおくのがベターです。
厚手のニット製品は、折り目のところに丸めた白い紙などで芯を入れてあげると、たたみジワ防止に効果があります。また、着る前日にスチームをたっぷり当てておくとシワが気にならなくなります。 薄手のセーターなどは、収納する時にうす紙を1枚たたみ込むとシワになりにくくなります。
ウール製のスーツやコートはなるべくハンガーにかけてクローゼットで保管しましょう。セーターは、ハンガーに吊るさずたたんでビニール袋に入れて衣装ケースに保管しましょう。
アイロン
衣替えなどで長く保管する際は、必ずお洗濯をして防虫剤を一緒に入れておきましょう。また、完全に乾かしてから保管しないと、カビや変色の原因になるので注意してください。
防虫剤は、1種類のみを使用するようにしましょう。また、防虫剤から出るガスは、空気よりも重いので服の下に入れても効き目がありません。必ず服の上に置きましょう。
新聞紙には除湿効果、防虫効果がありますので、防虫シートのかわりに代用できます。ただしインクが染みてくることがありますので、ハトロン紙などの薄紙を敷くことを忘れないようにしましょう。
週に1度は引出しを開け、風を通すようにしましょう。湿気の多い季節は特に、日陰で風通しの良いところで虫干しをするとよいでしょう。